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初級コース 第4回講座「糊糸目と色挿し」

12月14日に<初級コース>の第4回講座「糊糸目と色挿し」を行いました。


糊糸目は、家づくりで言う基礎工事のようなもの。水の流れ、葉の葉脈、ものの輪郭、すべてが置かれた糸目によって生地に現れます。生きた線を置くのはもちろん、防染の役目も果たさなくてはいけません。糸目の上に後の工程がのってくるため、しっかりしていないと最後の仕上がりも不安定なものになってしまいます。



開講早々、職人さんのお宅へ伺います。

作業室は、枠場に反物が張ってあり、ガラスの机に草稿を置き、下からライトで照らして糸目を置くようになっていました。糊は、一度置いたら後から修正が利きません。そのため、長い線ほど集中力と高い技術が求められます。1尺の生地巾に対し、3分の2にわたる長いストロークの波を糊置きするときは、息を凝らして、見入ってしまいました。


今回の職人さんは高校卒業後、親の元で糊糸目の世界に入りました。10年経つと少し慣れるとの事ですが、50年経った今でも上手くできた、と満足のいく仕事はなかなかないと仰っていました。それでも仕事を続けていると「手がノってくる」時があり、その時は止めたくないのか止められないのか、深夜2時頃まで平気で作業を続けてしまう日もあるそうです。



会社に戻り、糊糸目とゴム糸目の違いを比較しながら、友禅染の工程をおさらいします。ここからは、悉皆屋の熊谷さんとともに講義を進めていきます。

まず、糸目には上記の様に2種類あり、弊社は糊糸目で染めています。

 糊は、もち米・糠等を合わせ、各々の職人さんが自作・保管しています。生ものであり、特に夏場は注意が必要です。糸目を置くときは、固いため出すのに力が要ります。染め上がりは、毛筆のような強弱のある線が表現しやすく、黄みのある白さも特徴の一つです。

 ゴムは、出来上がった材料を市販で購入でき、悪くなりにくいため管理に手間はかかりません。また、比較的柔らかいため力は要りません。上りは、ボールペンの様な均一な線になりやすく、青みのある白さが特徴です。

 染め終えたら、蒸し・水元です。糊は水、ゴムは揮発油で洗い、余分な染料・糸目を落とします。この時、揮発油で生地が傷み、絹の風合いが損なわれます。実際の商品を見ても、その傷みはほとんどわからない程度のものですが、弊社は絹の風合いを残し、地色の発色を保つために、“揮発を通らない制作ルート”として糊糸目にこだわっています。



友禅染めにもさまざまな着物がありますが、こうして加工の段階での違いを分かっていただけると、より比較しやすくなるのではないでしょうか。ぜひ、おうちやお店で思い出してみて下さい。



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